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確定申告とマイナンバー   

いよいよ確定申告のシーズンがやってきました。
今年は例年と異なる点があります。マイナンバーです。
確定申告書には今年からマイナンバーを記載する欄ができました。同時に、書面で提出する際は、マイナンバーカードを持参して提示する必要があります。マイナンバーカードを入手していない方は、マイナンバー通知カードと免許証やパスポートなどの本人確認書類を一緒に提示する必要があります。
電子申告の場合は、マイナンバーカードなどは必要なく、マイナンバーを記載して送信するだけで済みます。

この差は何でしょう?

同じ確定申告なのに、書面と電子とでは確認書類の類に差がありますね。もしかして、電子申告に誘導したい国税の陰謀?と勘ぐってしまいたくなります。

ところが、陰謀(笑)ではなく、システムの違いらしいのです。電子申告の場合は申告書を送信すると同時に、記載されたマイナンバーの確認を地方公共団体情報システム機構のサーバーに問い合わせて確認するらしいのです。確認が取れたら申告受理となるらしいです。書面の場合は、受理するその場で確認する必要があるため、確認書類が必要ということらしいです。これは、番号法施行規則第9条あたりにも記載があるとか。

でも、頑なにマイナンバーの提示を断る方がきっと出てきますよね。その場合は?

結論から言うと、申告書は受理されるようです。また、電子申告の場合も受理されるようです。

ひと手間増えるマイナンバーですが、納税者だけでなく国税でも手間をかけています。マイナンバーの効果のほどはまだ実感できませんが、壮大な社会実験の途上と思って、協力していきましょう。

# by tax1st | 2017-02-07 09:44 | 所得税(源泉税以外)

養子縁組は相続税対策として有効か?   

日経新聞に、気になる記事が載っていました。2月1日付で「相続税対策の養子・有効」と最高裁で判断を下したというのです。何を今更という感が強く、こんなことが最高裁まで上告されて争われていたなんて…

相続税対策として、被相続人(亡くなっちゃうかもしれないけど財産を持っている人)の相続人(相続財産を受け取る人)として実子以外の人を養子にするという手法は昔から広く行われていました。じゃ、なんで今更、裁判で有効か無効かを争っていたのかというと、ほかの相続人が不満を抱いたことが遠因だったようです。

簡単に説明すると、じいちゃんには3人の子供がいて、さらに節税対策として一番上の子供の子供(じいちゃんからすると孫)を養子にしたんだそう。孫はこの時点で1歳。これで、じいちゃん(被相続人)の相続人は、子供3人に加えて養子(本当は孫)が加わり4名になります。すると、基礎控除という相続税から差し引かれるお目こぼし金額が1千万円(その後改正があり、現在は6百万円)増え、その分だけ相続税が減るのですね。ここまではめでたしめでたしなのですが、実際の財産分与の段階になって養子も1名にカウントし、4分の1づつにしたんじゃないのでしょうか。すると、もともとの3兄弟のうち、一番上の子供の家が半分をもらい、下の二人は4分の1づつしかもらえないという状況になったのではないでしょうか。そこで、下の二人が、「不公平だ!」と怒り、裁判にしたようなのです。じいちゃん、悲しいでしょうね。

しかし、この裁判は結構大きな意味があり、もし節税目的の養子縁組が無効!ってことになったら、世の中で今までに行われてきた養子ありの相続税の申告の多くが「間違い!」ということになり、国税も修正申告を促さなければならなくなります。税理士も右往左往です。また、節税目的で養子縁組している方々は、「くたびれもうけだ!」ということになるのです。

最高裁、良い判断を下してくれました。高裁はもう少し考えた方が良かったかも。
日経新聞の記事を張り付けておきます。

日経新聞の記事2/1付

# by tax1st | 2017-02-02 16:42 | 相続税

パート労働者に立ちはだかる壁が動いています   

年が明けて、確定申告の時期が近づいてきました。サラリーマンやパート労働者の方は、一足先に年末調整で平成28年の所得税の処理が完了していますね。

さて、ご結婚なさっていて所帯をお持ちの皆様には関係してくることが多い配偶者控除。配偶者がパート労働者などで所得が低い場合は扶養家族となり、主たる所得者の税額の計算において38万円の所得控除(費用のようなものですね)が認められ、税金が安くなります。例えば、主たる所得者の税率が10%だと、配偶者控除によって3万8千円の税金が安くなります。
実際には、お勤めの方で家族手当などの手当ての対象が扶養家族になっているケースが見受けられるので、配偶者控除を受けられるか否かは税額だけの問題ではなく、手当の問題にもなり、家計に大きなインパクトを与えるケースがあります。
配偶者控除を受けられるか否かの境界線は、103万円でした。よく、103万円の壁と言っています。ですから、パートの方は年末近くになると年間所得を計算して、100万円を超えるようならパート労働を控えるという防衛策を講じていました。これが、1億総活躍という政策に逆行するとして、103万円から150万円に引き上げようという動きがあります。このままいくと平成30年頃から施行されそうです。これで、パートの方々の労働時間をより長くしてもらい、ひいては国民総生産を上げようというのが配偶者控除見直しの目的です。

しかし、実は壁はもう一つ存在します。社会保険の壁です。すなわち、社会保険において主たる所得者の扶養になるか、独立して社会保険料を納めるかは、ある所得を境にして決められていました。これが従来は130万円でした。この壁は、配偶者控除の壁の向こう側に存在していたので、これまでは目立ちませんでした。手前の山が良く見えて、その向こうにある大きな山は山頂くらいしか見えない、というイメージですね。
ところが、昨年10月にこの壁が動いたのです。すなわち、独自に社会保険を納めるか否かの境界線が130万円から106万円に引き下げられたのです。これまで配偶者控除に隠れていた山が、前面に出てくることになるのですね。社会保険は、健康保険や年金や介護保険など、合計すると結構な金額になります。106万円を超えて働くと、これまで主たる所得者の社会保険支払金額の枠内で収まっていたものが、別途徴収されることになるのです。

さて、矛盾を感じませんか?「皆さんもっと働きましょう!」とけしかけるために配偶者控除の基準を緩くする一方で、「社会保険はもっと納めましょう!」と基準を厳しくするのです。2つの政策の足並みがそろっていないどころか、全く逆になっていますよね。財務省と厚労省というべつの官庁の所轄だからと言って、同じ政府の旗の下で行政を行っているのですから、この辺は足並みをそろえないと、政策の意図がうまく反映されず、効果を相殺してしまうと思うのです。

答えは、労働者の皆さんの行動が示してくれます。実際にパート労働者の皆さんがどのように行動するのか、平成30年以降の動向に興味津々ですね。

# by tax1st | 2017-01-20 09:36 | 所得税(源泉税以外)

役員変更登記にご注意を   

会社法において、株式会社の役員変更までの任期が変更され、、それまで2年だったものを10年にしたのが2006年でした。それまでは、2年ごとに役員変更登記をしなければならなかったものが10年ごとになるということで、「これは手間が省ける」と任期を10年にした会社も多いと思います。おそらく中小会社のほとんどが任期を10年にしたのではないでしょうか。
ところで、2006年に任期変更をした会社はご注意!10年任期ということは・・・・
そう、2016年、つまり昨年が10年なのです。すなわち、昨年に10年ぶりに役員変更登記をしなければならなかったのです。この件で、法務局から指摘を受け、過料を科せられるケースが出てきています。今一度、ご自分の会社の登記簿謄本を見直して、直近の役員変更登記がいつだったか確認することをお勧めします。もし、最後の役員変更登記が2006年で、10年ぶりの役員変更登記がまだでしたら、とにかく急いで変更登記をしてください。

また、昨年10月より、法人変更登記で株主総会決議の事項は、株主総会議事録の提出と同時に、株主名簿の提出も求められます。そのフォームは法務省のHPで公開されています。こちらもご注意ください。

# by tax1st | 2017-01-10 15:02 | その他

社会保障債務の膨張   

昨日の日経新聞の一面は、社会保障債務の膨張について。

完全に霞が関の制度設計ミスと思いますが、それをそのまま放っておく我々世代の問題でもあります。現在は何とか回っていても、近い将来必ず破たんの時が来ます。年金受給年齢を引き上げて70歳からにするとか、年金金額そのものを少なくするとか、健保で保障できる金額の上限を設けるとか、何らかの手を打たねば、我々の世代の債務を将来世代につけまわすことになります。そんな無責任な世代になってよいのでしょうか。

現状では、将来世代へのつけ回しは避けられない状況にあるでしょう。であれば、つけ回す金額をできる限り減らすのが我々の責任でしょう。消費税を上げる、という手も「今が良ければ、いいやぁ」という無責任な有権者や政党のおかげで、一時封印されています。であれば、支出を減らすという方策を取らねばなりません。実入りが減れば、持ち出しを減らす、小学生でもわかるお小遣いの理論です。でも、これを分かっていない大人が多すぎる。いったいいくら赤字国債を積み上げれば気が済むのか。

政治家、官僚、有権者、三位一体の意識改革をしなければ、将来の日本は住んではいけない国になります。
皆さんは、子供の世代に自分たちの世代の浪費のつけ回しをしても気にしない方々でしょうか。それとも、そんなことは現状を担う大人としてやってはいけないと思う方々でしょうか。

# by tax1st | 2016-12-20 10:01 | その他